ムササビタケ Psathyrella piluliformis
試験が終わり、ひと段落したところで約一か月ぶりのキノコ探し。ということで青梅の森を散策していると、コナラの樹下に何やらキノコが発生していた。この時期にそれなりに大きく、まとまった量のキノコを見られると嬉しい。発生環境の写真を撮り忘れたので、白バックで代用。
紫がかった黄土褐色のひだはナヨタケ科を想起させるが、実際どうだろうか。以下特徴を列挙する。供試標本は写真の癒合した2子実体。
【肉眼的特徴】 保育社図鑑と概ね一致
傘 cap
径 19×17mm, 30×25mm
形状 丸山型
色 湿時 濃黄土褐色、乾くと中央から「ス」を生じてやや薄い黄土色になる
粘性 なし
表面 半径の7割ほどの長さの、著しいしわを生じる
柄 stipe
径 2→3㎜, 3→5㎜、中部まで頂部と同じ太さだが、基部にかけて太まる
長さ 約25mm, 30㎜
表面 絹糸状光沢あり、やや繊維状、基部には白色菌糸
頂部透明感のある白色、下部にかけて淡黄土褐色がかる
中心性
中空
ツバ なし
ひだ gill
色 紫がかった黄土褐色、縁は淡色
幅 N/A
付き方 N/A
疎密 やや密
大ひだ:小ひだ 1:1
連絡脈 なし
胞子紋 紫褐色
肉
厚さ 縁は薄く、中央部の厚いところで約1.5㎜。柄は0.7㎜ほど
色 黄土色
変色性 なし
味 傷んできたので未確認
匂い 弱い酸味を帯びたきのこ臭=ナメコ?
【顕微鏡的特徴】
いやはやひどい検鏡写真だが、どうか許してほしい。コリメート法が言い訳にならないほどの像だ... 精進しなくては。当然4,10,40倍での観察もしたのだが写真を撮っていなかった。ただ子実層托実質が有色、シスチジアがほとんど見られない、胞子が5.3×3.4㎛(なんとn=2!杜撰すぎる)という点は保育社図鑑の記述に一致したので、ムササビタケPsathyrella piluliformisとしていいだろう。こんなクオリティの検鏡にも30分ほどかかってしまったので、シーズンまでに本格的に練習しなきゃな... 先が思いやられる。
学名について
Psathyrella:不明
piluliformis:pilulifer(小球を持つ)だろうか。どういうこっちゃ。